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2021/03/19

銀行員の話5

銀行員の話5 【勝尾寺の本殿脇の大きな木・・・達磨さんを買い片目を入れました!】

私の務めていた銀行は、バブル崩壊後も「合併に縁のない銀行」と顧客から言われてきました。やっと合併したのが、平成24年4月でした。似た名前の銀行ではなく、同業者同士でした。

同業者同士でも、合併すると業務の進め方の違いや、文化の違いが露になり、今更ながら”合併の大変さ”を身に染みた記憶があります。

私の同期の間で話題となった「相違点」は、『仕事のやり方』でした。

相手の方は、「本部や支店長が決めたことを、部下に下達する」『やり方』でした。私どもが先輩から教わったやり方は、「顧客のことは現場が一番分かっているので、本部には現場が物申すもの。物を申せない者は仕事をしていないとみなす」という『やり方』でした。

本部にいた同期は、「でもなぁ。現場が本部に物申す銀行って、当社しか無いようだ。メガバンクも、他の銀行も聞いてみたが、当社だけ異質だったみたいだ」とのこと。

すべてでは無いでしょうが、銀行員の仕事のやり方は、上意下達を大切にする面はあると思います。合併後には、徐々に異質文化は、消え去りそうな様子です。

以前、銀行員の話2でも「一般的に、金融機関はリスクから組織を守るために、全ての情報を幹部に集約しその判断を仰いだり、意思統一を図るために組織のヒエラルキー維持を重視してきた。それは、現場の営業マンに、”考えること”を訓練させて来なかった点はあるかもしれない。私自身の反省でもある。」と書きましたが、そんな仕事のやり方が、組織を守ることを重視し、「雨の日には傘を取り上げる銀行」と言われた面があったかもしれません。

顧客のことを考える銀行員、本部にも物申せる銀行員って、いわば『半沢直樹』みたいな銀行員はいないのでしょうか?

 

私が融資業務の駆け出しの頃、ある役員に随行して、社長さんと面談を致しました。役員は社長と激論を戦わし、担当者である私は脇でハラハラしておりました。その帰り道での、役員から言われた一言です。

「顧客のことを、徹底的に本気で考えていれば、本気で怒れるはずだ。本気で怒れたら、顧客は最後には感謝してくれる。そんな融資マンになれ。」

先日、30年来の年賀状をお送りさせて頂いたその元役員の奥様から訃報が届きました。

体で覚えさせて頂けたお言葉でした。

 

コロナ禍もあり、また、金融庁のマニュアル廃止もあり、時代と共に銀行員の仕事のやり方も変化してきているようです。物申せる銀行員が増えていることを期待しております。

 

 

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